【みなし解散】会社・法人のみなし解散とは?通知が届いたときの対応方法と注意点を徹底解説!
会社を設立したものの、実際には事業を行っていなかったり、登記変更を長年放置していたりする法人は、法務局から「みなし解散」に関する通知を受け取る可能性があります。この通知は、会社が自動的に解散したものと「みなされる」手続きの一環で、放置すると重大なリスクにつながります。

会社の役員任期が切れたのに、選任を怠っていた——そのような"ちょっとしたミス"が、実は事業の根幹を揺るがす「許認可の取消」につながる可能性があることをご存じでしょうか?
特に、建設業、宅建業、古物商、介護事業、金融業など、行政の許可や認可を受けて運営している会社にとって、役員の選任懈怠は重大なリスクです。本記事では、実際にあった取消事例をもとに、どのような流れで行政処分が行われたのか、何をもって"選任懈怠"と判断されるのかを具体的に解説し、企業として取るべき対策を考えます。
【目次】
1. 許認可と役員選任の関係性

行政の許認可を要する事業では、「会社の代表者」や「役員構成」が許可・認可の審査項目の一部となっています。
たとえば建設業法では、次のような記載が見られます。
「経営業務の管理責任者が常勤でいること」
「役員に欠格事由のある者がいないこと」
つまり、誰が取締役か、代表取締役かといった情報は、単なる"会社の内部事情"ではなく、法的に外部への届出が必要な重要事項であり、変更があれば速やかに行政庁へ届け出なければなりません。
2. なぜ選任懈怠が許認可取消につながるのか?
選任懈怠は、「会社として正当に選ばれた役員が存在しない状態」を意味します。
この状態が続くと、行政庁から見れば次のような疑義が生まれます。
これにより、許認可の維持要件を満たしていないと判断され、最悪の場合「取消処分」に至ります。
この取消は、事前通告なしに行われる場合もあり、再取得にも時間とコストがかかります。
3. 実例紹介:建設業者が許可取消となったケース
実際に起きた事例をご紹介します。
【事例】中小建設会社A社(東京都)
A社は建設業許可を受けて約10年事業を行っていましたが、取締役の1名が任期満了を迎えて以降、再選任をせず放置していました。その後、約1年が経過し、行政庁から「役員変更の届け出がされていない」と指摘を受けました。
慌てて株主総会で再任決議を行い、「遡及して再任」と主張したものの、役員不在の空白期間が約1年存在していたことから、行政庁は「正当な役員体制を欠いていた」と判断。
結果として、建設業許可は取消処分となりました。
A社は許可再取得を目指しましたが、改めて実績や財務状況の審査が必要となり、約半年間の営業停止状態に陥りました。この間、多くの取引先を失い、最終的には事業縮小を余儀なくされました。
4. 空白期間の発生と"後付け決議"の限界

多くの企業が誤解しがちなのが、「あとから決議すれば大丈夫」という考えです。
たしかに会社内部の意思としては「再任を予定していた」と説明できるかもしれませんが、法的には空白期間の発生を防げません。
たとえば、任期満了が2023年6月で、株主総会での再任が2024年6月だった場合、2023年6月~2024年6月の1年間は正規の役員が存在しなかったことになります。
この空白期間は、行政庁にとっては"違法状態"とみなされ、「事後処理でカバーできる問題ではない」とされるのが一般的です。
5. 取消を回避するための現実的な対応策
行政処分を回避するために、会社側でできる実務対応をいくつかご紹介します。
また、許認可業種の場合は、役員の変更が許認可維持条件に直結することを、社内で明文化し共有しておくことも有効です。
6. まとめ:選任は「ただの形式」ではない
役員の選任は、単なる社内の形式的な行為と思われがちですが、許認可を持つ企業にとっては"事業の存続条件"そのものです。
選任懈怠を「うっかり」で済ませることはできず、実際に行政処分を受けた事例も存在します。
特に、許認可取消となれば、元に戻すのも容易ではなく、信頼の回復や事業の再開に多大な労力を要します。
「うちは小規模だから」「どうせ再任だし」と油断せず、任期管理と選任対応は常に先回りしておくことが、会社を守るうえで不可欠です。
※過料、許認可取消など、聞きたくないような話ですが、必ず専門家に相談することをお勧めします。

会社を設立したものの、実際には事業を行っていなかったり、登記変更を長年放置していたりする法人は、法務局から「みなし解散」に関する通知を受け取る可能性があります。この通知は、会社が自動的に解散したものと「みなされる」手続きの一環で、放置すると重大なリスクにつながります。
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