株主総会で清算結了が承認されたら、2週間以内に「清算結了登記」を法務局に申請する必要があります。この登記を怠ると過料の対象になるだけでなく、法人格が存続している扱いになるため注意が必要です。
【主な提出書類】
- 登記申請書
- 株主総会議事録(清算結了の承認を含む)
- 清算事務報告書(財産の処分状況や収支報告など)
また、債権者保護手続き(官報公告等)を行ってから1ヶ月以上経過していない場合は、登記は受理されません。清算中に公告を出したか、期間が満了しているかの確認も忘れずに。
4. 清算確定申告とその他の届出
登記と並行して、税務署などへの手続きも行わなければなりません。特に「清算確定申告」は法人の最終申告であり、期限を過ぎると延滞税の対象になります。
【必要な税務手続き】
- 清算確定申告書(清算結了日から2か月以内)
- 法人税・消費税の納付(必要な場合)
- 法人の廃止届出書(税務署、市区町村へ)
- 社会保険の資格喪失手続き(該当する場合)
なお、清算期間中に所得が発生している場合には、「中間申告」も別途必要になるケースがあります。税理士と連携し、必要な書類をすべて揃えておきましょう。
5. 結了後に必要な帳簿保管義務とは?
会社が清算結了登記を終えても、すぐにすべての書類を破棄してよいわけではありません。会社法や税法上、一定期間の帳簿書類の保存が義務付けられています。
【主な保存義務のある資料と期間】
- 会計帳簿、貸借対照表、損益計算書:10年間
- 契約書、請求書、領収書等:7年間
- 清算人の業務報告書、議事録:10年間
保管義務を怠ると、元役員や清算人が法律上の責任を問われる可能性があります。保管場所が問題になる場合には、倉庫業者やクラウド保管も検討してよいでしょう。
6. まとめ:法人格の完全消滅まで気を抜かずに
清算結了登記は、法人の命を法的に「終える」最後の手続きです。この手続きを正しく行うことで、法的義務から解放され、過去の法人に関する煩雑な連絡や請求も来なくなります。
逆に言えば、ここまできちんとやらないと「消えたはずの会社」が法律上は生き続けることになり、後々トラブルを招くおそれがあります。
登記だけでなく、税務署や社会保険関係の届出、帳簿の保存まで含めて「完全に終わらせる」ことが、清算手続きの本質です。専門家のサポートを活用し、最終局面も抜かりなく進めていきましょう。
次回(第4回)では、いわゆる「休眠会社」となってしまった法人が、みなし解散扱いを受けた場合の対応方法について詳しく解説していきます。