会社に関する変更を登記せず放置していると、法務局から「過料(かりょう)」という行政罰が科される可能性があります。これはいわゆる罰金ではなく、義務違反に対する制裁金です。
例えば、代表取締役を変更したにもかかわらず登記をせず放置していた場合、会社に対して最大100万円以下の過料が科されることもあります。
また、過料だけではなく、次のような実務的デメリットもあります。
- 新しい代表者で銀行口座を開設できない
- 官公庁への届出で整合性が取れず手続きが止まる
- 契約先から信用を失うリスク
- 補助金・助成金申請時に不備とされる可能性
会社にとって、信用と手続きの円滑さは命です。変更登記の怠りは、知らず知らずのうちに自社の足を引っ張ることになりかねません。
4. 変更登記の期限と原則的なルール
登記の申請には法定期限があります。基本的には、「変更があった日から2週間以内」に申請しなければなりません(会社法第915条など)。
たとえば、株主総会で代表取締役が交代した場合は、その決議日(または辞任届の受理日)から2週間以内に登記申請をしなければならないのです。
もしこの期限を過ぎてしまうと、前述の通り「過料」のリスクがあります。2週間という期間は意外と短く、書類の収集・押印・法務局への提出などを考えると、社内での段取りが遅れるだけでアウトになることもあります。
5. まとめ:変更登記を軽視しないためにできること
変更登記は、会社運営において欠かすことのできない「信用の土台」です。これを怠ると、過料や実務上のトラブルを招くだけでなく、取引先や行政との関係にも悪影響を与えます。
今後、以下の点に注意して変更登記を行うようにしましょう。
- 定期的に登記事項と実際の状況にズレがないか確認する
- 変更が決定したら、すぐに必要書類の準備を開始する
- 期限内に提出できない場合は、司法書士に相談して早めの対応を
次回は、実務上もっとも多い登記である「役員変更登記」について、就任・辞任・再任の違いや必要書類などを詳しく解説していきます。