会社法第2条第5号では、公開会社を「その発行する株式の全部又は一部について、譲渡による取得に会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社」と定義しています。つまり、株式の譲渡に制限がない会社が公開会社となります。一方、非公開会社は、発行する全ての株式について譲渡制限の定めを設けている会社です。この違いは、役員の選任や変更手続きにも影響を及ぼします。
2. 役員構成の違い
公開会社
- 取締役会の設置:必須
- 取締役の人数:3名以上
- 監査役の設置:必須
公開会社では、取締役会の設置が義務付けられており、取締役は3名以上必要です。また、監査役の設置も必須となります。
非公開会社
- 取締役会の設置:任意
- 取締役の人数:1名以上
- 監査役の設置:任意(取締役会を設置する場合は必須)
非公開会社では、取締役会の設置は任意であり、取締役は1名以上で構成できます。監査役の設置も任意ですが、取締役会を設置する場合は監査役の設置が必要です。
3. 役員の任期の違い
公開会社
公開会社では、取締役の任期は原則として2年以内、監査役の任期は4年以内と定められています。任期の延長はできません。
非公開会社
- 取締役の任期:最長10年まで延長可能
- 監査役の任期:最長10年まで延長可能
非公開会社では、定款の定めにより、取締役および監査役の任期を最長10年まで延長することが可能です。これにより、頻繁な役員変更登記の手間を省くことができます。
4. 役員変更手続きの流れ
公開会社
- 取締役会の開催:新任または再任の取締役を決議
- 株主総会の開催:取締役の選任を承認
- 取締役会の開催:代表取締役の選定
- 登記申請:変更から2週間以内に法務局へ申請
公開会社では、取締役会と株主総会の両方での決議が必要となり、手続きが複雑です。
非公開会社
- 株主総会の開催:取締役の選任を決議
- 代表取締役の選定:定款の定めにより、株主総会または取締役の互選で選定
- 登記申請:変更から2週間以内に法務局へ申請
非公開会社では、取締役会の設置が任意であるため、手続きが比較的簡素です。
5. 登記手続きの違い