【第3回】なぜ清算人登記で「定款」が必要なのか?(株式会社編)司法書士が詳しく解説
株式会社が解散し、清算人を登記する際には「定款のコピー」を添付する必要があります。しかし、なぜ解散登記時に定款確認が求められるのか、他の登記では不要なのに清算人だけ例外なのか、実務でも誤解が多い部分です。本記事では、司法書士が清算人登記と定款添付の理由を体系的に解説します。

法務局から「みなし解散により職権で解散登記をしました」と通知が届いた場合でも、一定の期間内であれば会社を「復活」させることが可能です。
ただし、再設立や新設とは異なり、復活には登記・書類・株主総会決議など複数のステップを経る必要があります。本記事では、実際に職権による解散登記が行われた後に会社を存続させるための実務的な流れを、司法書士がわかりやすく解説します。
【目次】
1. 職権による「みなし解散登記」が入るとどうなるか

みなし解散制度は、12年間以上登記を行っていない株式会社を対象に、法務局が職権で「解散登記」を行う制度です(会社法472条2項)。
つまり、実際には廃業していなくても、登記が長年放置されていると「解散した」とみなされてしまいます。
この「職権による解散登記」が入ると、会社の登記簿上は「解散会社」として扱われ、以下のような制限が発生します:
実質的に"会社としての活動ができない状態"となるため、早期に継続手続をとることが重要です。
2. 「会社継続の登記」で復活できる期限と条件

会社法第472条第3項により、職権で解散登記が行われた場合でも、
「みなし解散の日から3年以内」であれば、会社を復活(継続)させることが可能です。
復活(継続)登記を行うための主な条件は以下のとおりです。
つまり、"3年以内"という期限を過ぎると、復活ではなく新会社設立として扱われます。
この点を誤解して放置してしまうケースが非常に多いため注意が必要です。
3. 継続決議から登記申請までの流れ

実務では次のような流れで復活登記を行います。
ステップ①:株主総会の開催
まず、会社を存続させるための意思決定として、**株主総会で「会社継続の決議」**を行います。
議事録には次のような文言を記載します。
「当会社は、会社法第471条第1号により解散したものとされたが、会社法第472条第3項の規定に基づき、会社を継続することを決議する。」
この議事録は後の登記に必須となります。
ステップ②:役員の再選任または新任
長期間登記をしていなかった会社では、取締役や代表取締役の任期がすでに満了しているケースが多いです。
その場合は、再任や新任の手続きを行い、役員変更登記も同時に進めます。
ステップ③:登記書類の準備と申請
以下の書類を法務局へ提出します:
また、職権解散登記の写しを添付する場合もあります。
司法書士に依頼することで、書類不備や登記拒否のリスクを減らすことができます。
4. 登記懈怠による過料と対応の考え方
職権解散登記がなされる前後を問わず、役員の変更登記を怠っていた期間がある場合、
会社法976条に基づき「過料(行政罰)」が科される可能性があります。
ただし、過料は刑罰ではなく行政的な注意・是正の意味合いが強く、
反省文(陳述書)を提出することで、減額や免除となることもあります。
過料の金額は通常、数万円〜十数万円程度。(法律上は、100万円以下の過料となっています)
司法書士に相談して、経過や事情を丁寧に整理しておくことが大切です。
5. 司法書士が伝えたい実務上の注意点

6. よくある質問(FAQ)

Q1. 解散登記から3年以上経っています。復活できますか?
→ できません。新たに会社を設立する必要があります。
Q2. 継続登記を行うと、過去の登記懈怠分も一緒に処理できますか?
→ はい。再任登記なども同時に申請する形で整合性を取ります。
Q3. みなし解散登記の通知書を紛失した場合は?
→ 管轄法務局で職権登記の有無を照会すれば確認可能です。

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