第2回:株式会社の解散登記に必要な添付書類一覧

2025年10月16日

株式会社を解散するときには、法務局に「解散登記」と「清算人登記」を申請する必要があります。その際に揃える添付書類は多く、実務で補正になりやすいのが「定款」と「印鑑証明書」の取扱いです。本記事では、株式会社の解散登記に必要な添付書類を整理し、注意すべきポイントを司法書士が詳しく解説します。

目次

  1. 株式会社の解散登記で必要となる基本書類
  2. 清算人の選任方法と定款の添付の意味合い
  3. 特例有限会社との違い
  4. 清算人の印鑑証明書は「どこで必要か」
  5. 実務で多い補正事例
  6. 高松市で登記申請する際の注意点
  7. まとめ

1. 株式会社の解散登記で必要となる基本書類

株式会社が解散登記を申請する際には、以下の書類を準備する必要があります。

  • 登記申請書
  • 株主総会議事録(解散決議)
  • 株主リスト(株主総会で解散を決議した場合)
  • 清算人就任承諾書
  • 清算人の印鑑届出書(印鑑証明書を添付)
  • 定款(必ず必要)

ここで注目すべきは、「定款」と「印鑑証明書」の取扱いです。この2つを正しく理解しないと、補正や申請却下につながるリスクがあります。

2. 清算人の選任方法と定款の添付の意味合い

株式会社の清算人は、次の4つの方法で選任されます。

  1. 定款に定める者(定款指定清算人)
     添付理由:定款に定めがあることを確認するため。
  2. 株主総会で選任された者
     添付理由:定款に清算人や清算人会の定めがないことを確認するため。
  3. 法定清算人(取締役全員)
     添付理由:定款に特段の定めがないことを確認するため。
  4. 裁判所が選任した者
     添付理由:同様に、定款に清算人や清算人会の定めがないことを確認するため。

👉 このように、株式会社では①〜④いずれの場合も定款の添付が必須です。
ただし、その意味合いは「定めがあることを確認」する場合と「定めがないことを確認」する場合に分かれます。

3. 特例有限会社との違い

特例有限会社には「清算人会設置会社」という定めがあり得ません。
そのため、清算人の選任方法ごとに必要書類が異なります。

  • 株主総会選任(②)、裁判所選任(④) → 定款の添付不要
  • 定款指定清算人(①)、法定清算人(③) → 定款が必要

👉 これが株式会社との大きな違いです。
実務では、有限会社と株式会社で同じ感覚で申請して補正になるケースが少なくありません。

4. 清算人の印鑑証明書は「どこで必要か」

もう一つ誤解が多いのが「印鑑証明書」です。

  • 必要なのは清算人就任承諾書ではなく、印鑑届出書
  • 清算人に就任した人物が法務局に新たに印鑑を届け出る必要があり、その際に実印を押印し、印鑑証明書を添付します。
  • 一方で、清算人就任承諾書には印鑑証明書は不要です。

この理由は、商業登記規則61条4項・5項・6項が清算人には適用されないためです。
つまり、就任承諾書は「意思表示の確認」に過ぎず、本人確認は印鑑届出の段階で担保されます。

5. 実務で多い補正事例

実務上よくある補正ポイントをまとめます。

  • 定款の添付漏れ
     → 「株主総会で清算人を選任したから不要」と誤解する例。株式会社では必須です。
  • 印鑑証明の添付先を間違える
     → 清算人就任承諾書に印鑑証明をつけてしまう例。正しくは印鑑届出書に添付。
  • 株主リストの記載不備
     → 議決権割合や住所の誤記で補正になることがあります。

6. 高松市で登記申請する際の注意点

  • 管轄法務局:香川県内の会社は「高松法務局」が管轄。
  • 申請期限:株主総会で解散を決議してから2週間以内に登記申請が必要。
  • 提出方法:窓口、郵送、オンライン申請が可能。高松法務局は比較的オンライン申請が進んでおり、利用を推奨。
  • 公告手続き:解散登記と同時に清算人登記を済ませた後、官報公告を行う。公告掲載料は約35,000円〜。※詳しくは「香川県官報販売所 」に問い合わせてください。

7. まとめ

 株式会社の解散登記では、添付書類の判断を誤ると補正のリスクが高くなります。特に「定款の添付は常に必要」「印鑑証明は就任承諾書ではなく印鑑届出に必要」という点を理解しておくことが重要です。

 また、特例有限会社とは要件が異なるため、会社形態ごとに正しい添付書類を確認する必要があります。


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