取締役が全員辞任・死亡し「取締役ゼロ」の状態になると、会社は意思決定ができない"機関不全"に陥ります。本記事では、裁判所の招集許可・仮取締役選任という法定手続から、最高裁判例に基づく「株主全員同意による招集」という即時対応まで、登記実務に基づき分かりやすく解説します。
【保存版】取締役会非設置会社における株主総会決議の一覧と決議区分(普通決議・特別決議)

株式会社において何らかの重要事項を決定する際、意思決定機関として「取締役会」があるか否かで、決議の方法や必要な手続きが大きく異なります。とりわけ「取締役会非設置会社」では、法律上取締役会に委ねられていた決議事項の多くが株主総会の決議によって行われることになります。
しかし、実際にどの事項が株主総会で決議すべきか、またそれが普通決議で足りるのか、特別決議が必要なのかといった点は、条文を一つひとつ確認しなければならず、実務において迷いやすいところです。
本記事では、取締役会非設置会社において株主総会で決議を要する主な13項目について、会社法の条文をもとに決議の種類ごとに整理しました。実務担当者や司法書士、行政書士、法務担当者の方にとっても参考になる内容ですので、保存版としてご活用ください。
目次
- 株主総会の決議とは?(普通決議と特別決議の違い)
- 取締役会非設置会社で株主総会が必要な13項目一覧
- 各項目の決議区分と根拠条文の詳細
- 決議の定義と成立要件の解説
- まとめ:条文の確認と実務対応のポイント
1. 株主総会の決議とは?(普通決議と特別決議の違い)

株主総会の決議には、大きく分けて以下の2種類があります。
- 普通決議(会社法309条1項)
出席株主の議決権の過半数の賛成が必要。 - 特別決議(同条2項)
議決権総数の過半数の株主が出席し、その3分の2以上の賛成が必要。
特別決議は、定款変更や組織再編など、株主の権利に大きく影響を与える事項に用いられます。
2. 取締役会非設置会社で株主総会が必要な13項目一覧
取締役会を設置していない株式会社では、以下の13の議題については、株主総会の決議が必要になります。取締役会設置会社であれば取締役会で完結するこれらの項目も、非設置会社では株主による意思決定が求められます。
※13項目だけではありません。主要なものだけを取り上げてます。

3. 各項目の決議区分と根拠条文の詳細
以下の表に、各議題について必要な決議の種類と条文をまとめます。

4. 決議の定義と成立要件の解説
以下に、普通決議と特別決議の成立要件を再度整理します。
- 普通決議
出席株主の議決権の過半数の賛成。定足数の規定がないため、少数株主のみの出席でも成立することがあります。 - 特別決議
「総議決権の過半数を有する株主の出席」+「その3分の2以上の賛成」が必要。より厳格な手続きが要求されるため、定款等で準備が必要なケースもあります。
5. まとめ:条文の確認と実務対応のポイント
取締役会非設置会社における意思決定は、取締役会設置会社に比べて株主総会の役割が大きく、決議要件の理解が不可欠です。特に注意すべきポイントは以下のとおりです。
- ③と④は例外的に特別決議が必要
譲渡拒否による指定買取人の指定と、譲渡制限付株式等の募集に関する事項は、特別決議の対象です。 - それ以外の議題は基本的に普通決議で対応可能
- 定款の定めによって一部権限移譲も可能な場合あり
業務効率化の観点からも、定款で意思決定プロセスを明確化しておくとよいでしょう。
おわりに
会社法の運用において、条文を正確に把握することはもちろん、実務に即した形で手続きを整理しておくことが重要です。本記事の一覧表と解説を参考に、自社の会社運営体制に応じた適切な決議運営を行ってください。
特に専門家に相談をすることは、正確な会社運営の一助となります。

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