【第3回】なぜ清算人登記で「定款」が必要なのか?(株式会社編)司法書士が詳しく解説
株式会社が解散し、清算人を登記する際には「定款のコピー」を添付する必要があります。しかし、なぜ解散登記時に定款確認が求められるのか、他の登記では不要なのに清算人だけ例外なのか、実務でも誤解が多い部分です。本記事では、司法書士が清算人登記と定款添付の理由を体系的に解説します。

「医療法人の解散を検討している」「事業を終了するには何をすればよい?」「解散後の資産はどうなる?」——このようなお悩みをお持ちの医療法人代表者・理事の方へ。医療法人は設立時にも厳格な要件と手続きが求められますが、解散時にも同様に、適切な手続きを踏まなければ思わぬトラブルを招くおそれがあります。本記事では、医療法人を解散する際に必要なフローや注意点、残余財産の扱いについて、専門的視点から分かりやすく解説いたします。
目次
1. 医療法人の解散とは

医療法人の解散とは、法人としての活動を終了し、その法的存在を消滅させる手続きです。株式会社の解散と異なり、医療法人には公益性があるため、都道府県知事の認可が必要です。安易な判断で手続きを進めると、後々のトラブルや責任問題につながるため、慎重な対応が求められます。
2. 解散事由の具体例
医療法人が解散する代表的な理由には、次のようなものがあります。
3. 解散の手続きの流れ

医療法人を解散するには、以下のようなステップを踏む必要があります。
※特に都道府県知事の認可が必要な点が、通常の法人解散と大きく異なります。
4. 解散に伴う主な書類
解散時には、以下のような書類の準備が必要です(都道府県により様式の指定あり)。
書類の不備や記載内容の不整合があると認可が下りず、手続きに時間を要するため慎重な作成が求められます。
5. 残余財産の取り扱い
医療法人が解散する際、法人に残った財産(残余財産)は国・地方公共団体、他の医療法人、公益法人など非営利性を有する法人に寄付しなければなりません。
この原則は、医療法人が営利法人ではなく、公益性を持つ存在であるためです。残余財産の取り扱いを誤ると、認可されず手続きが止まる可能性があります。
6. 解散後の清算と登記
解散認可を得た後は、法務局で「解散登記」を行い、法人の法的効力が終了したことを示します。その後、清算人が債務の整理、未収金の回収、財産処分などを行い、残余財産を寄付します。
最終的にすべての処理が終わると、「清算結了登記」をもって法人は完全に消滅します。
7. 解散に際しての注意点
以下の点には特に注意が必要です。
また、解散・清算にかかる期間は概ね3〜6か月以上かかるため、スケジュールに余裕を持って進めることが重要です。
8. まとめ
医療法人の解散は、設立とは異なる複雑なプロセスを伴います。特に公益性の観点から都道府県の認可が求められたり、残余財産の寄付先が限定されていたりと、通常の法人と比べて手続きの負担が大きい点が特徴です。
解散を検討されている方は、早い段階で専門家(司法書士・行政書士・税理士など)と相談しながら進めることで、リスクを最小限に抑え、スムーズな解散・清算が可能となります。

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