法務局から「みなし解散により職権で解散登記をしました」と通知が届いた場合でも、一定の期間内であれば会社を「復活」させることが可能です。
ただし、再設立や新設とは異なり、復活には登記・書類・株主総会決議など複数のステップを経る必要があります。本記事では、実際に職権による解散登記が行われた後に会社を存続させるための実務的な流れを、司法書士がわかりやすく解説します。
【医療法人解散】医療法人をやめるときに必要な手続きと注意点を徹底解説

「医療法人の解散を検討している」「事業を終了するには何をすればよい?」「解散後の資産はどうなる?」——このようなお悩みをお持ちの医療法人代表者・理事の方へ。医療法人は設立時にも厳格な要件と手続きが求められますが、解散時にも同様に、適切な手続きを踏まなければ思わぬトラブルを招くおそれがあります。本記事では、医療法人を解散する際に必要なフローや注意点、残余財産の扱いについて、専門的視点から分かりやすく解説いたします。
目次
- 医療法人の解散とは
- 解散事由の具体例
- 解散の手続きの流れ
- 解散に伴う主な書類
- 残余財産の取り扱い
- 解散後の清算と登記
- 解散に際しての注意点
- まとめ
1. 医療法人の解散とは

医療法人の解散とは、法人としての活動を終了し、その法的存在を消滅させる手続きです。株式会社の解散と異なり、医療法人には公益性があるため、都道府県知事の認可が必要です。安易な判断で手続きを進めると、後々のトラブルや責任問題につながるため、慎重な対応が求められます。
2. 解散事由の具体例
医療法人が解散する代表的な理由には、次のようなものがあります。
- 目的達成:設立目的を果たし、法人の存在意義が消失した場合
- 社員総会の決議:社員(出資者)の総意による任意解散
- 医療機関の廃止:診療所や病院の閉鎖によって存在理由が消失した場合
- 合併による消滅:他の医療法人との合併による統合
- 破産:経営破綻による清算手続き
3. 解散の手続きの流れ

医療法人を解散するには、以下のようなステップを踏む必要があります。
- 社員総会の開催と解散決議
- 都道府県知事への認可申請
- 解散登記(法務局)
- 清算人の選任と登記
- 債務の清算と資産整理
- 残余財産の寄付・引き渡し
- 清算結了登記
※特に都道府県知事の認可が必要な点が、通常の法人解散と大きく異なります。
4. 解散に伴う主な書類
解散時には、以下のような書類の準備が必要です(都道府県により様式の指定あり)。
- 解散認可申請書
- 理事長による解散理由説明書
- 社員総会議事録
- 医療機関廃止届(診療所など)
- 財産目録および貸借対照表
- 定款・寄附行為
- 清算人選任届出書
書類の不備や記載内容の不整合があると認可が下りず、手続きに時間を要するため慎重な作成が求められます。
5. 残余財産の取り扱い
医療法人が解散する際、法人に残った財産(残余財産)は国・地方公共団体、他の医療法人、公益法人など非営利性を有する法人に寄付しなければなりません。
この原則は、医療法人が営利法人ではなく、公益性を持つ存在であるためです。残余財産の取り扱いを誤ると、認可されず手続きが止まる可能性があります。
6. 解散後の清算と登記
解散認可を得た後は、法務局で「解散登記」を行い、法人の法的効力が終了したことを示します。その後、清算人が債務の整理、未収金の回収、財産処分などを行い、残余財産を寄付します。
最終的にすべての処理が終わると、「清算結了登記」をもって法人は完全に消滅します。
7. 解散に際しての注意点
以下の点には特に注意が必要です。
- 医療機関の廃止届は別途提出が必要(保健所などへの提出)
- 解散後の社会保険・労務関係の手続き(従業員がいる場合)
- 解散前後の帳簿保存と税務対応
- 残余財産の寄付先選定には、事前に調整・相談が必要
また、解散・清算にかかる期間は概ね3〜6か月以上かかるため、スケジュールに余裕を持って進めることが重要です。
8. まとめ
医療法人の解散は、設立とは異なる複雑なプロセスを伴います。特に公益性の観点から都道府県の認可が求められたり、残余財産の寄付先が限定されていたりと、通常の法人と比べて手続きの負担が大きい点が特徴です。
解散を検討されている方は、早い段階で専門家(司法書士・行政書士・税理士など)と相談しながら進めることで、リスクを最小限に抑え、スムーズな解散・清算が可能となります。

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