【役員変更】公開会社と非公開会社の役員変更の違いとは?手続き・任期・登記のポイントを徹底解説

2025年06月23日

株式会社の役員変更は、会社の組織運営において重要な手続きです。しかし、公開会社と非公開会社では、役員の選任や変更に関する手続きや要件が異なります。特に、取締役会の設置義務や役員の任期、登記手続きの違いは、会社の種類によって大きく変わります。本記事では、公開会社と非公開会社における役員変更の違いについて、具体的な手続きや注意点を詳しく解説します。

目次

  1. 公開会社と非公開会社の定義
  2. 役員構成の違い
  3. 役員の任期の違い
  4. 役員変更手続きの流れ
  5. 登記手続きの違い
  6. まとめ

1. 公開会社と非公開会社の定義

 会社法第2条第5号では、公開会社を「その発行する株式の全部又は一部について、譲渡による取得に会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社」と定義しています。つまり、株式の譲渡に制限がない会社が公開会社となります。一方、非公開会社は、発行する全ての株式について譲渡制限の定めを設けている会社です。この違いは、役員の選任や変更手続きにも影響を及ぼします。

2. 役員構成の違い

公開会社

  • 取締役会の設置:必須
  • 取締役の人数:3名以上
  • 監査役の設置:必須

 公開会社では、取締役会の設置が義務付けられており、取締役は3名以上必要です。また、監査役の設置も必須となります。

非公開会社

  • 取締役会の設置:任意
  • 取締役の人数:1名以上
  • 監査役の設置:任意(取締役会を設置する場合は必須)

 非公開会社では、取締役会の設置は任意であり、取締役は1名以上で構成できます。監査役の設置も任意ですが、取締役会を設置する場合は監査役の設置が必要です。

3. 役員の任期の違い

公開会社

  • 取締役の任期:2年以内
  • 監査役の任期:4年以内

 公開会社では、取締役の任期は原則として2年以内、監査役の任期は4年以内と定められています。任期の延長はできません。

非公開会社

  • 取締役の任期:最長10年まで延長可能
  • 監査役の任期:最長10年まで延長可能

 非公開会社では、定款の定めにより、取締役および監査役の任期を最長10年まで延長することが可能です。これにより、頻繁な役員変更登記の手間を省くことができます。

4. 役員変更手続きの流れ

公開会社

  1. 取締役会の開催:新任または再任の取締役を決議
  2. 株主総会の開催:取締役の選任を承認
  3. 取締役会の開催:代表取締役の選定
  4. 登記申請:変更から2週間以内に法務局へ申請

 公開会社では、取締役会と株主総会の両方での決議が必要となり、手続きが複雑です。

非公開会社

  1. 株主総会の開催:取締役の選任を決議
  2. 代表取締役の選定:定款の定めにより、株主総会または取締役の互選で選定
  3. 登記申請:変更から2週間以内に法務局へ申請

 非公開会社では、取締役会の設置が任意であるため、手続きが比較的簡素です。

5. 登記手続きの違い

 役員変更の登記は、会社の種類に関わらず、変更から2週間以内に法務局へ申請する必要があります。ただし、公開会社では、取締役会や株主総会の議事録など、提出書類が多くなる傾向があります。非公開会社では、定款の定めにより、提出書類を簡素化することが可能です。

6. まとめ

 公開会社と非公開会社では、役員の構成、任期、変更手続き、登記手続きにおいて大きな違いがあります。特に、公開会社では取締役会の設置や役員の任期に制限があり、手続きが複雑になります。一方、非公開会社では、柔軟な運営が可能であり、手続きも簡素化されています。会社の種類に応じた適切な手続きを行うことが、円滑な会社運営には不可欠です。

 役員変更に関する手続きや登記について不明な点がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。特に、定款の内容や会社の種類によって手続きが異なるため、正確な情報をもとに対応することが重要です。

変更登記

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また、移転先が現在の法務局の管轄外にある場合には、さらに手続きが複雑になります。