(解散・清算)株式会社の解散・清算結了の手続きと登記の流れとは?わかりやすく解説
株式会社を解散するには、株主総会での決議や清算人の選任、各種登記手続きなど複数のステップが必要です。本記事では、株式会社の解散から清算結了までの流れと必要な登記手続きについて、実務的な観点から詳しく解説します。
会社を設立したものの、事業を行わず長期間にわたり登記の変更もなかった場合、「休眠会社」と見なされ、法務局から「みなし解散」の通知が届くことがあります。この通知を放置すると、一定期間の経過後、自動的に会社が解散したものとされ、登記簿上でも解散扱いになります。「休眠状態だから関係ない」と考えるのは危険で、事業を再開する予定がある場合や、会社名義の不動産・口座などがある場合には、早急な対応が必要です。本記事では、みなし解散の通知の意味、対応期限、会社を継続させる方法、みなし解散後の復活方法(継続登記)まで、実務に即して詳しく解説します。
目次:
1. 「みなし解散通知」とは?その意味と法的根拠
「みなし解散通知」とは、法務局が会社に対し、一定期間登記が行われていないことを理由に、会社が事業を廃止したものとみなして通知を出す制度です。
これは会社法第472条にもとづく制度で、12年間登記の変更(たとえば役員変更など)がなかった株式会社や、5年間登記の変更がなかった一般社団法人などが対象になります。法務局は公告と通知を行い、一定期間内に「まだ事業をしている」旨の届出や登記がなければ、解散したとみなして解散登記を職権で行います。
2. 対象となる休眠会社の条件
「みなし解散」の対象となるのは、次のような状態の法人です:
この期間、実際に事業をしているかどうかではなく、登記がされていないかどうかが判断基準です。役員の任期が切れても更新登記をしなかった、取引がなくなったまま放置していた、といった場合が該当します。
3. 通知を受け取ったらまずやるべきこと
みなし解散通知が届いたら、まずは以下の内容を確認してください。
この通知を放置して期限を過ぎると、自動的に解散登記がされてしまいます。実質的な活動がなくても、会社名義の銀行口座、不動産、契約などがある場合は、解散登記が思わぬトラブルを引き起こすことがあります。
4. 会社を継続させる手続きの流れ
事業を継続したい、または将来再開する可能性がある場合は、以下の手続きを行うことで解散を免れることができます。
① 株主総会の開催
「会社を継続する」旨の決議を株主総会で行います。
② 必要書類の準備
③ 法務局への申請
通知に記載された期限内に、法務局に申告を行います。まだ実在していることを書面で提出することになります。
これにより、「みなし解散」は回避され、会社は継続することができます。
ただし、遅滞なく遅れている登記をしなければなりません。
5. すでに解散扱いになってしまった場合の対応
もし、対応が間に合わず、すでに解散登記がされてしまった場合でも、継続登記という手続きを行うことで、法人格を復活させることが可能です。
継続登記の手続き:
また、解散登記から長期間が経過していると、登記官が実体審査を強化する傾向があります。書類不備による補正や却下もあり得るため、早めに専門家へ相談するのが望ましいです。
6. まとめ:事業が止まっていても「会社」は生きている
休眠状態のまま長期間放置された会社は、「もう事業をしていないだろう」として法務局からみなし解散の対象にされます。しかし、登記上解散したことになってしまうと、会社名義の資産や権利義務関係に影響が生じ、思わぬリスクを抱えることになります。
私が経験したのが、会社所有の乗用車の処分をしようと思っても、みなし解散が入っており、代理できる清算人の登記をしないことには、自動車の名義を変えることができないという事態に陥った方がいました。清算人の登記を済ませ、法人印の登録も行い、無事自動車の名義を変えて処分することができました。
一方で、適切な手続きを行えば、事業継続も会社の復活も可能です。「みなし解散通知が来た=会社が終わった」というわけではなく、対応すれば守れる法人格であることを理解しておきましょう。
ただし、復活させるにしても、許認可が関連するような内容ですと、「選任懈怠」はまずいです。許認可を失う場合も出てくるかもしれません。「登記懈怠(選任はしていたが登記をするのを忘れていた)」にすれば許認可は守れますが、登記懈怠の過料が科されます。
次回(第5回)では、解散後に法人名義の資産が残っていた場合にどのような問題が起こるのか、また、清算人の責任について詳しく解説します。
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