事業承継を失敗させない設計|家族経営会社の出口戦略まとめ【司法書士解説】
家族経営会社の相続・承継問題の多くは、
制度の難しさではなく設計不足から発生します。

これまで会社や法人の設立登記は、法務局が開庁している日に登記申請を行い、その申請日が設立日として登記簿に記録されるのが原則でした。ところが令和8年2月2日から、申請者の希望に応じて土日祝日・年始休日などの「行政機関の休日」も会社等の設立日として登記簿に記載できる制度が始まります。この改正は、設立日を縁起の良い日や記念日にしたいというニーズに対応したものです。
制度の背景と改正のポイント
新制度でできること
利用条件(要件)
申請書の書き方・記載例
実務上の注意点
制度利用のメリット
よくある疑問
まとめ
1. 制度の背景と改正のポイント

会社や法人の設立登記では、従来、登記申請を行った日=会社の設立日とされてきました。したがって、法務局が閉庁する土日祝日や年末年始は実質的に設立登記ができず、たとえば1月1日や元旦に会社を設立することは制度上できませんでした。
このため、「どうしても節目の日付で設立したい」という創業者の希望に応えられないという課題もありました。しかし令和8年2月2日施行の商業登記規則等の改正省令により、申請者が希望する休日(行政機関の休日)を会社等の設立日として登記簿に記録できる制度が導入されました。
2. 新制度でできること

新制度では、次のような日を設立日として登記簿に記載できるようになります:
土曜日
日曜日
国民の祝日
年末年始(行政機関の休日)
その他官公庁等が休止する日
つまり、従来は不可だった 休日を会社等の設立日(登記簿上の日付)として指定できるようになりました。
3. 利用条件(要件)

この制度を利用するためには、一定の条件(要件)を満たす必要があります。主な要件は次のとおりです:
対象となる会社等であること
株式会社、合同会社、一般社団法人等、設立登記が成立要件である法人等が対象です。
申請書に特例を求める旨と指定する設立日を明記すること
登記申請書に「本特例を求める」と明記し、設立日として希望する日付(指定登記日)を記載する必要があります。
指定登記日が行政機関の休日であること
土日・祝日・年末年始など、法務局等の行政機関が閉庁する日が対象です。
指定登記日の直前の開庁日に申請を行うこと
休日設立が認められるためには、希望する休日のすぐ手前の開庁日に登記申請を受理してもらう必要があります。オンライン申請・郵送申請の場合も、当該開庁日中に申請書類が到達・受付される必要があります。
4. 申請書の書き方・記載例

制度を利用する場合、登記申請書に次のような記載をすることが求められます:
**「本特例の求め」**の旨を申請書余白またはオンライン申請の「その他の申請書記載事項」欄に記載
指定する休日の日付を、設立日(会社成立の年月日)として登記すべき事項欄に記載
詳細な記載例は法務省が別添PDFで公開していますので、申請前に必ず確認してください。
5. 実務上の注意点

この制度を利用する上では、以下の点に注意が必要です:
添付書類は原則として申請日までに作成されたものが必要です。
法人の設立登記に必要な各種書類(日付証明書、定款、出資証明など)は、申請日前までに準備して添付します。
申請書に不備がある場合、登記官から補正指示が出ます。指定登記日等の要件に不備があり、補正が期限内になされない場合には、特例の申請が無かったものとして通常の登記として扱われることがあります。
6. 制度利用のメリット

この制度には以下のようなメリットがあります:
✔ 記念日・ブランディングの活用
会社の設立日を創業者の誕生日や記念日、事業理念に合わせた日付にすることが可能になります。たとえば「1月1日(元旦)」を設立日としたいという要望にも応えられるようになります。
✔ 事業計画の柔軟性
会計年度や事業年度の開始日に合わせて設立日を設定しやすくなるため、税務・人事計画の立て方にも工夫ができるようになります。
7. よくある疑問

Q1:休日にそのまま申請して良いのですか?
いいえ。休日に申請をするのではなく、指定する休日の直前の開庁日に申請し、受付される必要があります。
Q2:申請日は休日でも受付できますか?
制度上は休日でも設立日として登記簿に記録できますが、実際の申請の受付は開庁日に行われます。
8. まとめ
令和8年2月2日から、一定の要件を満たせば 土日・祝日・年末年始といった行政機関の休日も会社等の設立日として登記簿に記載できる制度が施行されます。創業日にこだわりたい方や、記念日・特定日と結びつけたい企業にとっては有意義な制度変更です。申請の際には要件・記載方法・添付書類を十分に確認し、正確な登記申請を行いましょう。

家族経営会社の相続・承継問題の多くは、
制度の難しさではなく設計不足から発生します。
家族経営会社では、代表者が亡くなると会社運営が一時的に止まる可能性があります。
家族経営会社の相続トラブルの多くは、
自社株の準備不足から始まります。
家族経営会社の相続は、通常の相続とは全く別物です。
不動産や預貯金と違い、「会社」という組織が動き続ける中で相続が発生するため、株式承継・役員体制・金融機関対応など複合的な問題が同時に生じます。