では、どのタイミングで法人化するのが良いのでしょうか?以下の3つの観点で考えると判断しやすくなります。
(1)年間利益が500万円を超えるかどうか
この金額を超えると、所得税率が法人税率を上回るケースが増えてきます。会計事務所などでも「利益が500万円を超えたら法人化を検討」と言われることが多いです。
(2)取引先や業界が法人であることを求めてくる
取引先によっては、「法人でなければ契約できない」とするケースもあります。また、企業向けビジネス(BtoB)や官公庁との取引では法人格が求められることも。
(3)従業員を雇って組織化したいとき
従業員を雇い、経営と実務を分けたいと考えたときは法人化のチャンスです。給与体系の明確化、労務管理、社会保険加入などの面で、法人の方が整備しやすいです。
4. 法人化による注意点とデメリット
法人化はメリットが多い一方で、次のようなデメリットや注意点もあります。
- 設立時に登記費用・定款認証費用などがかかる(株式会社で約20万円前後)
- 法人住民税(均等割)が赤字でも発生(東京23区では最低7万円)
- 会計・税務が複雑になり、税理士費用が増える可能性
- 社会保険の強制適用(役員1人でも加入義務)
特に、売上が安定していない段階での法人化はコスト負担が重くなるため注意が必要です。
5. 法人化を検討すべき具体的なケース
以下のような状況であれば、法人化を強く検討する価値があります。
- 年商が1000万円を超え、利益も安定して出ている
- 家族に給与を支払い、節税を図りたい
- 融資や助成金の申請を予定している
- 共同経営や株主を入れて事業を拡大したい
- クライアントから法人化を求められている
また、創業融資(日本政策金融公庫など)を狙う場合は、法人の方が審査上の印象が良くなる傾向もあります。
6. まとめ:法人化は目的と将来像に応じて判断を
法人化は「節税になるから」だけで決めると、かえって費用や事務負担が増えることもあります。大切なのは「今後どのような経営をしていきたいか」「どのような成長を目指すのか」という将来像です。
事業が成長軌道に乗り、次のステップに進む準備が整っているなら、法人化は有力な選択肢になります。迷ったときは、専門家(税理士・司法書士など)に相談し、自分に合った形を見つけましょう。