株式譲渡は税務・登記の両面からも重要な影響があります。
- 贈与とみなされる場合の贈与税
無償または著しく安い価格で譲渡した場合、税務署から「贈与」とみなされることがあります。 - 譲渡益に対する譲渡所得税
譲渡人に譲渡益が生じる場合は所得税が発生します。 - 商業登記の必要性
株式譲渡により経営者が交代する場合、代表取締役の変更登記が必要です。登記を怠ると過料の対象にもなります。
6. 司法書士・専門家の関与が必要な理由
株式譲渡契約は、単なる売買契約ではなく、将来の会社の運命を左右する重要な契約です。加えて、定款確認や取締役会の議事録作成、登記の手続きなど複雑な法的処理を伴うため、司法書士・弁護士・税理士などの専門家と連携して進めるのが望ましいです。
司法書士は商業登記の専門家として、以下のような場面で支援できます。
- 代表取締役の変更登記
- 株主リストの整備
- 株式譲渡制限条項の確認と改定
- 株主総会・取締役会議事録の作成支援
7. まとめ:事業の安定承継には契約の明文化が不可欠
事業承継における株式譲渡は、感情的な問題・親族間の認識違い・税務的な誤解など、多くのリスクをはらんでいます。これらのリスクを防ぐためには、契約の明文化と法的整備が不可欠です。特に中小企業では、これまで口約束や信頼関係で経営が成り立っていたケースも多いため、専門家の関与により、契約書の整備と登記までをワンストップで行うことが望ましいでしょう。