「代表取締役が辞任することになったが、何から手続きを始めればいいのかわからない。」
【司法書士が解説】取締役会非設置会社の代表取締役変更の基本|辞任・退任・選定方法をわかりやすく整理

「代表取締役が辞任することになったが、何から手続きを始めればいいのかわからない。」
会社の役員変更登記のご相談の中でも、このようなお問い合わせは非常に多くあります。
特に中小企業の多くを占める取締役会非設置会社では、代表取締役の選び方や辞任後の手続きは、会社法や定款の内容によって異なります。
また、「代表取締役を辞める」と一言でいっても、
- 取締役も辞任する場合
- 代表取締役だけ辞任する場合
- 死亡による退任
- 解職による変更
など、状況によって必要な手続きや添付書類は大きく変わります。
本シリーズでは、代表取締役変更登記について、実務上よくあるケースを一つずつ整理しながら解説していきます。
第1回では、その土台となる「取締役会非設置会社における代表取締役制度の基本」を確認していきましょう。
目次
- なぜ「取締役会非設置会社」が重要なのか
- 代表取締役とはどのような役職なのか
- 代表取締役の選定方法は2種類ある
- 定款の確認が最初のポイント
- 代表取締役が変更になる主なケース
- このシリーズで解説する内容
1 なぜ「取締役会非設置会社」が重要なのか

日本の株式会社の多くは、中小企業です。
その多くは取締役会を設置していない株式会社であり、これを「取締役会非設置会社」といいます。
取締役会を設置している会社では、代表取締役の選定や解職は取締役会が行います。
一方、取締役会を設置していない会社では、会社法のルールや定款の定めによって代表取締役を選定するため、実務上の取扱いが異なります。
そのため、「代表取締役が辞任したから新しい代表者を決めればよい」と単純には考えられません。
まずは、自社が取締役会設置会社なのか、それとも取締役会非設置会社なのかを確認することが、すべての手続きの出発点になります。
2 代表取締役とはどのような役職なのか

会社には「取締役」と「代表取締役」という役職があります。
取締役は会社の経営を担う役員ですが、代表取締役はその中でも会社を代表し、契約の締結や金融機関との取引など、会社を対外的に代表する権限を持っています。
つまり、
代表取締役=取締役の一人であり、会社を代表する権限を持つ者
という位置付けになります。
そのため、代表取締役が辞任した場合でも、
- 取締役も辞任するのか
- 代表権だけ辞任するのか
によって、登記手続きが変わってきます。
この違いは実務でも非常に重要なポイントです。
3 代表取締役の選定方法は2種類ある

取締役会非設置会社では、代表取締役の選定方法は大きく分けて2つあります。
(1)株主総会で選定する方法
定款で株主総会が代表取締役を選定すると定めている会社では、株主総会の決議によって代表取締役を選びます。
この場合、新たな代表取締役を選任するためには、株主総会議事録が必要になります。
(2)取締役の互選による方法
定款で「取締役の互選によって代表取締役を定める」と規定している会社では、取締役同士の話し合い(互選)によって代表取締役を選定します。
この場合には、互選書や取締役の決定書などが添付書類になります。
どちらの方法になるかは、会社ごとの定款によって決まります。
そのため、代表取締役変更の相談を受けた司法書士が最初に確認する資料の一つが定款なのです。
4 定款の確認が最初のポイント
実務では、「代表取締役が辞めるので登記をお願いします」というご相談を受けることがあります。
しかし、すぐに登記書類を作成することはできません。
まず確認すべきなのは、
- 定款
- 現在事項全部証明書(登記事項証明書)
- 現在の役員構成
です。
例えば、定款に株主総会選定と定められているにもかかわらず、取締役の互選書だけを作成してしまうと、登記申請は補正や却下の対象となる可能性があります。
また、代表取締役の辞任日と新代表取締役の就任日をどのように設定するかによっても、必要な書類や登記原因が変わる場合があります。
このように、代表取締役変更登記は「定款の確認」から始まると言っても過言ではありません。
5 代表取締役が変更になる主なケース

代表取締役の変更には、さまざまな理由があります。
主なものとしては、
- 代表取締役と取締役を同時に辞任する場合
- 代表取締役だけ辞任し、取締役には残る場合
- 任期満了による改選
- 死亡による退任
- 解職による変更
- 新たな代表取締役の就任
などがあります。
一見似ているように見えますが、それぞれ必要な決議や添付書類、押印方法、印鑑証明書の要否などが異なります。
実務では、この違いを理解しておくことが、スムーズな登記申請につながります。
6 このシリーズで解説する内容
本シリーズでは、代表取締役変更登記について、実務で特に間違いやすいポイントを中心に解説していきます。
次回は、「代表取締役兼取締役が辞任する場合」を取り上げます。
辞任届の作成方法、後任代表取締役の選定方法、必要書類、登記申請時の注意点などを実務に沿って詳しくご説明します。
さらにその後は、
- 代表取締役だけ辞任する場合
- 死亡による変更
- 解職による変更
- 印鑑証明書が不要となる例外
- 添付書類の一覧
なども順番に解説していく予定です。
代表取締役変更登記は、一つひとつのケースを正しく理解することで、手続き全体が見えやすくなります。
ぜひシリーズを通してご覧いただき、実務や会社運営にお役立てください。

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