【第4回】遺言で会社は守れる?できること・できないこと|株式相続と遺留分の現実(高松市対応)

2026年07月08日

「遺言書さえ作っておけば、会社は守れるのか?」

これは多くの経営者の方からいただくご質問です。
結論から言えば、遺言は非常に有効な手段ですが、"万能ではありません"。

特に株式の相続では、「遺留分」という制度との関係で、想定どおりに進まないケースもあります。
本記事では、遺言でできること・できないことを整理し、実務的な対策まで解説します。

目次

  1. 遺言でできること(結論)
  2. 株式の承継指定はどこまで有効か
  3. 遺留分とは何か(なぜ問題になるのか)
  4. 遺言だけでは足りないケース
  5. 実務的に必要な"もう一歩の対策" 

1. 遺言でできること(結論)

まず結論を整理します。

遺言によって、次のようなことが可能です。

  • 株式を誰に承継させるか指定できる
  • 相続の大枠の方向性を決められる
  • 家族間の無用な争いを防ぎやすくなる

一方で、限界もあります。

  • 遺留分を完全に排除することはできない
  • 相続人全員の納得を保証するものではない
  • 会社経営の細部までコントロールできるわけではない

つまり、遺言は"方向を示す強力なツール"だが、それだけで全てが解決するわけではないという位置づけになります。

2. 株式の承継指定はどこまで有効か

中小企業において、最も重要なのは株式です。

遺言によって、

「長男に全株式を相続させる」
といった指定をすることは可能です。

これにより、

  • 経営権の集中
  • 意思決定の迅速化
  • 会社の安定

といった効果が期待できます。

第2回・第3回で見たような「共有状態による停滞」を防ぐ上で、遺言は非常に有効です。

しかし、ここで一つ大きな注意点があります。

3. 遺留分とは何か(なぜ問題になるのか)

それが「遺留分」です。

遺留分とは、一定の相続人に保障された最低限の取り分のことをいいます。

たとえば、

  • 配偶者
  • 子ども

には、法律上「最低限これだけはもらえる」という権利があります。

仮に遺言で「長男に全株式」と指定しても、
他の相続人は遺留分を主張することができます。

その結果、

  • 金銭での支払い(代償金)が必要になる
  • 交渉が長期化する
  • 経営に影響が出る

といった問題が発生する可能性があります。

つまり、遺言だけでは"完全なコントロール"はできないのです。

4. 遺言だけでは足りないケース

実務上、次のようなケースでは遺言だけでは不十分となることがあります。

ケース① 株式の評価額が高い

会社の価値が高いほど、遺留分として支払う金額も大きくなります。
結果として、後継者に大きな資金負担が生じます。

ケース② 相続人間の関係が良好でない

感情的な対立がある場合、遺留分請求が強く主張される傾向があります。

ケース③ 後継者に資金力がない

遺留分の支払いに対応できない場合、株式の維持自体が難しくなる可能性があります。

これらのケースでは、遺言だけではリスクを十分に抑えきれません。

5. 実務的に必要な"もう一歩の対策"

では、どうすればよいのでしょうか。

重要なのは、遺言+αの設計です。

具体的には、

  • 株式の事前移転(生前贈与など)
  • 種類株式の活用
  • 生命保険による資金準備(遺留分対策)

といった手段を組み合わせていきます。

また、

  • なぜその承継方法を選んだのか
  • 家族への配慮をどう考えているのか

といった点を、言葉として残しておくことも重要です。

これにより、単なる"法的対策"ではなく、
家族が納得しやすい設計に近づきます。

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