【第2回】株式の相続で会社が止まる理由|中小企業で起きる経営麻痺とは(高松市の実例)

2026年06月24日

「会社は続いているのに、なぜか何も決められない」

これは、株式の相続が原因で実際に起きる典型的なトラブルです。
中小企業では、株式は単なる財産ではなく「経営権そのもの」を意味します。

結論から言えば、株式の相続が整理されない限り、会社の意思決定は大きく制限されます。
本記事では、なぜそのような状態になるのか、実務の視点からわかりやすく解説します。

目次

  1. 株式=財産ではなく「経営権」である
  2. 株式の相続で起きる3つの問題
  3. 遺産分割が終わるまで何も決められない理由
  4. 高松市でも多い"共有状態"のリスク
  5. トラブルを防ぐための考え方 

1. 株式=財産ではなく「経営権」である

まず理解しておきたいのは、株式の本質です。

株式は、預金や不動産のような「単なる財産」ではありません。
会社の意思決定に参加する権利=経営権そのものです。

たとえば、

  • 取締役の選任
  • 重要な契約の承認
  • 配当の決定

これらはすべて株主の意思によって決まります。

つまり、株式を誰が持っているかによって、会社の方向性が決まるのです。

2. 株式の相続で起きる3つの問題

では、その株式が相続の対象になると、何が起きるのでしょうか。

代表的な問題は次の3つです。

株式がそのままだと「共有状態」になる

相続が発生すると、遺産分割が終わるまでの間、株式は相続人全員の共有となります。

この状態では、株主としての権利を行使するには、原則として相続人全員の同意が必要になります。

意見がまとまらず意思決定ができない

相続人の中には、

  • 経営を継ぎたい人
  • 経営に関わりたくない人
  • 財産としての価値を重視する人

など、立場の異なる人が混在します。

その結果、「誰が会社を動かすのか」という点で合意ができず、重要な意思決定が止まります。

時間がかかる(数ヶ月〜数年)

遺産分割協議は、すぐにまとまるとは限りません。
むしろ、感情的な対立が入ることで長期化するケースが多く見られます。

その間、会社は不安定な状態に置かれ続けます。

3. 遺産分割が終わるまで何も決められない理由

ここが実務上の最も重要なポイントです。

なぜ、遺産分割が終わるまで会社の意思決定が難しくなるのでしょうか。

理由はシンプルで、「正式な株主が確定していない」からです。

会社は、株主の意思によって動く仕組みです。
しかし相続が発生すると、その株主が確定しない状態になります。

この状態では、

  • 株主総会の決議が不安定になる
  • 新しい代表者の選任が進まない
  • 外部(銀行・取引先)からの信用が低下する

といった問題が発生します。

つまり、会社の"意思決定エンジン"が止まっている状態になるのです。

4. 高松市でも多い"共有状態"のリスク

高松市でも、この「株式の共有状態」によるトラブルは増えています。

特に多いのが、

  • 親族内で経営を引き継ぐ人が明確でない
  • 遺言書がない
  • 株式の配分を考えていない

といったケースです。

例えば、

「長男が会社を継ぐつもりだったが、他の兄弟が株式の分配を主張した」
「配偶者の生活保障とのバランスが問題になった」

といった形で、会社の意思決定と相続の公平性が衝突します。

その結果、

  • 重要な契約が進まない
  • 従業員が不安を感じる
  • 取引先が離れる

という悪循環に陥ることもあります。

※様々な事情で株式の共有をしている場合もありますが、何か新規事業を始める際、定款の変更が必要になりますが、この時の議決権は3分の2の賛成決議が必要です。有限会社に至っては、4分の3が要件となります。

5. トラブルを防ぐための考え方

では、こうした問題を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。

重要なのは、「株式をどう承継させるか」を事前に決めておくことです。

具体的には、

  • 誰に経営を引き継がせるのかを明確にする
  • 株式を集中させる設計を考える
  • 遺言書で意思を明確にしておく

といった準備が必要です。

特に中小企業では、「家族だから話せばわかる」という前提が崩れる場面が少なくありません。

だからこそ、事前に"形"として残しておくことが重要になります。

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株式の相続は、「財産の分け方」の問題であると同時に、
「会社をどう存続させるか」という経営の問題でもあります。

この2つを切り離して考えてしまうと、思わぬトラブルにつながります。

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