会社を経営している方や、そのご家族から、突然このようなご相談をいただくことがあります。
【第5回】種類株式ってなに?中小企業でも使える“経営防衛”の仕組み(高松市対応)

「株式を分けると揉める。でも一人に集中させると不公平になる」
このジレンマに対して、有効な解決策の一つが「種類株式」です。
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、中小企業でも活用できる制度です。
結論から言えば、種類株式を使うことで"経営権と財産権を分ける"ことができます。
本記事では、その仕組みと実務での使い方をわかりやすく解説します。
● 目次
- 種類株式とは何か(結論)
- なぜ通常の株式では問題が起きるのか
- 種類株式でできること
- 中小企業での活用例
- 導入時の注意点
1. 種類株式とは何か(結論)

まず結論です。
種類株式とは、「内容の異なる株式を発行できる仕組み」のことです。
通常の株式は、
- 議決権がある
- 配当を受ける権利がある
といった権利がセットになっています。
しかし種類株式を使うことで、
- 議決権がない株式
- 配当だけ受けられる株式
など、権利の内容をカスタマイズすることが可能になります。
2. なぜ通常の株式では問題が起きるのか

これまでの記事で見てきたとおり、
中小企業では「株式=経営権」です。
そのため、
- 相続で株式が分散する
- 複数人で意思決定することになる
といった状態になると、会社の動きが止まります。
一方で、
- すべてを後継者に集中させると不公平感が出る
という問題もあります。
つまり、
「経営の安定」と「相続の公平」が衝突する構造になっているのです。
3. 種類株式でできること

ここで種類株式が活きてきます。
代表的なものが「議決権制限株式」です。
これは、
配当は受けられるが、議決権はない株式です。
これを活用すると、
- 後継者:議決権のある株式を集中
- 他の相続人:議決権のない株式を保有
という設計が可能になります。
つまり、
- 経営は一人に集約
- 財産としての配慮は維持
というバランスを取ることができます。
4. 中小企業での活用例

実務では、次のような形で使われることがあります。
例えば、
- 長男が会社を継ぐ
- 次男・長女は会社に関与しない
というケース
この場合、
- 長男に議決権のある株式を承継
- 他の相続人には議決権制限株式を配分
とすることで、
- 経営の安定
- 相続人間の公平感
の両立を図ることができます。
また、遺留分対策としても一定の効果が期待できます。
5. 導入時の注意点

ただし、種類株式は万能ではありません。
導入にあたっては、いくつかの注意点があります。
■ 定款変更が必要
種類株式を発行するには、会社のルール(定款)を変更する必要があります。
■ 設計を誤ると逆効果
内容の設計が不十分だと、かえって複雑なトラブルを招く可能性があります。
■ 専門的な判断が必要
税務・法務・相続のバランスを考える必要があります。
つまり、
"仕組みとして優れている"が、"設計がすべて"の制度です。

ピックアップ情報
中小企業の事業承継や世代交代では、このようなケースが少なくありません。
会社からこのような相談を受けたとき、まず確認しなければならないことがあります。
「代表取締役が辞任することになったが、何から手続きを始めればいいのかわからない。」
