不動産・個人保証に頼らない!2026年5月開始「企業価値担保権」の仕組みと中小企業への影響
日本の企業融資は長年、不動産担保や経営者の個人保証に過度に依存してきました。この商習慣が、創業期のスタートアップや、優れた技術を持ちながらも資産が乏しい中小企業の成長を阻む壁となっていました。

「株式を分けると揉める。でも一人に集中させると不公平になる」
このジレンマに対して、有効な解決策の一つが「種類株式」です。
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、中小企業でも活用できる制度です。
結論から言えば、種類株式を使うことで"経営権と財産権を分ける"ことができます。
本記事では、その仕組みと実務での使い方をわかりやすく解説します。
● 目次
1. 種類株式とは何か(結論)

まず結論です。
種類株式とは、「内容の異なる株式を発行できる仕組み」のことです。
通常の株式は、
といった権利がセットになっています。
しかし種類株式を使うことで、
など、権利の内容をカスタマイズすることが可能になります。
2. なぜ通常の株式では問題が起きるのか

これまでの記事で見てきたとおり、
中小企業では「株式=経営権」です。
そのため、
といった状態になると、会社の動きが止まります。
一方で、
という問題もあります。
つまり、
「経営の安定」と「相続の公平」が衝突する構造になっているのです。
3. 種類株式でできること

ここで種類株式が活きてきます。
代表的なものが「議決権制限株式」です。
これは、
配当は受けられるが、議決権はない株式です。
これを活用すると、
という設計が可能になります。
つまり、
というバランスを取ることができます。
4. 中小企業での活用例

実務では、次のような形で使われることがあります。
例えば、
というケース
この場合、
とすることで、
の両立を図ることができます。
また、遺留分対策としても一定の効果が期待できます。
5. 導入時の注意点

ただし、種類株式は万能ではありません。
導入にあたっては、いくつかの注意点があります。
■ 定款変更が必要
種類株式を発行するには、会社のルール(定款)を変更する必要があります。
■ 設計を誤ると逆効果
内容の設計が不十分だと、かえって複雑なトラブルを招く可能性があります。
■ 専門的な判断が必要
税務・法務・相続のバランスを考える必要があります。
つまり、
"仕組みとして優れている"が、"設計がすべて"の制度です。

日本の企業融資は長年、不動産担保や経営者の個人保証に過度に依存してきました。この商習慣が、創業期のスタートアップや、優れた技術を持ちながらも資産が乏しい中小企業の成長を阻む壁となっていました。
これらはいずれも、代表取締役本人の意思や死亡という事実によって代表権を失うケースでした。
会社を経営している方や、そのご家族から、突然このようなご相談をいただくことがあります。
中小企業の事業承継や世代交代では、このようなケースが少なくありません。