役員変更登記、忘れていませんか?

2026年09月23日

前回の記事では、

「その会社、最後に登記したのはいつですか?」

というテーマで、会社の登記について考えていただきました。

会社を設立するときには登記をしたものの、その後は何年も登記をしていない。

そんな会社は、決して珍しくありません。

特に多いのが、

「設立したときから社長も取締役も変わっていないから、登記する必要はないと思っていた」

というケースです。

しかし、これは注意が必要です。

株式会社の役員には任期があり、役員が同じ人のまま再任された場合でも、役員変更登記が必要になります。

そして、この役員変更登記を長期間行っていないことが、今回のシリーズで取り上げている「みなし解散」にもつながってきます。

今回は、会社経営者の方にぜひ知っておいていただきたい「役員変更登記」について解説します。

目次

  1. 「社長が変わっていないから登記不要」は間違い?
  2. 役員には「任期」があります
  3. 同じ人が続けて役員をする場合も登記が必要
  4. 役員変更登記を放置するとどうなる?
  5. 「登記を忘れていた」では済まない場合があります
  6. まずは自社の役員と登記簿を確認しましょう
  7. 次回はいよいよ「みなし解散」について

1.「社長が変わっていないから登記不要」は間違い?

会社の登記について相談を受けていると、よく聞くのが、

「社長はずっと同じなので、役員変更登記はしていません」

という言葉です。

たしかに、実際に役員が交代していなければ、

「変更していないのだから、登記する必要もないのでは?」

と思ってしまうかもしれません。

しかし、株式会社の場合、役員には法律上の任期があります。

そして、任期が満了した後も同じ人が引き続き役員を務める場合には、再任の手続を行い、その内容を登記する必要があります。

つまり、

「人が変わっていない」ことと「役員変更登記が必要ない」ことは同じではありません。

ここは、会社経営者の方にぜひ覚えておいていただきたいポイントです。

2.役員には「任期」があります

株式会社の取締役には、原則として任期があります。

一般的には、取締役の任期は選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結時までとされています。

ただし、非公開会社では定款によって取締役の任期を最長10年まで伸長することができます。

そのため、

「うちの会社は10年間、役員変更をしていないから大丈夫」

というケースもあります。

しかし、それでも任期が永久に続くわけではありません。

任期が満了すれば、同じ人を引き続き役員とする場合でも、再任についての手続と登記が必要になります。

「何年も同じメンバーで会社を経営している」という会社ほど、一度確認しておきたいところです。

3.同じ人が続けて役員をする場合も登記が必要

例えば、父親が社長、息子が取締役として会社を経営しているとします。

会社を設立してから何年経っても、父親も息子もそのまま会社に残っています。

この場合、

「役員は誰も変わっていない」

ため、登記は必要ないと思ってしまうかもしれません。

しかし、任期が満了して再任されたのであれば、その再任について役員変更登記をする必要があります。

つまり、

「役員が変わったから登記する」のではなく、「任期が満了し、再任されたから登記する」場合がある

ということです。

法務省も、役員の任期満了後に同じ人が再任された場合であっても、役員変更の登記が必要であることを案内しています。

4.役員変更登記を放置するとどうなる?

では、役員変更登記をしないまま何年も経過すると、どうなるのでしょうか。

まず、法律上必要な登記を怠った場合には、過料の対象となる可能性があります。

また、それだけではありません。

登記簿上の役員と、実際に会社を経営している役員が一致しない状態になることで、会社の手続を行う際に問題となることがあります。

例えば、

  • 金融機関との手続
  • 会社の重要な契約
  • 事業承継
  • 株式の整理
  • 相続
  • M&A
  • 不動産の売買
  • 会社をたたむための手続

など、会社の重要な場面で、過去の登記が問題になることがあります。

「今まで問題がなかったから、これからも大丈夫」

とは限りません。

5.「登記を忘れていた」では済まない場合があります

さらに注意していただきたいのが、長期間にわたって登記をしていない会社です。

会社を設立してから何年も経っている。

役員もずっと同じ。

事業も普通に続けている。

だから問題ないと思っている。

しかし、登記の世界では、こうした会社にも一定のルールがあります。

法務局では、長期間にわたって登記がされていない会社や法人について、毎年「休眠会社・休眠一般法人の整理作業」を行っています。

株式会社の場合、最後の登記から12年を経過すると、休眠会社として整理作業の対象となります。

そして、その際に必要な対応をしなければ、**「みなし解散」**の登記がされることがあります。

つまり、

「実際には営業している会社だから大丈夫」

とは限らないのです。

6.まずは自社の役員と登記簿を確認しましょう

今回の記事を読んで、

「うちの会社は大丈夫かな?」

と思われた方は、まず次の項目を確認してみてください。

□ 現在の役員は誰ですか?

□ 登記簿上の役員と実際の役員は一致していますか?

□ 最後に役員変更登記をしたのはいつですか?

□ 役員の任期を把握していますか?

□ 同じ役員のまま何年も登記をしていませんか?

一つでも「分からない」という項目があれば、一度確認してみることをおすすめします。

会社の登記は、問題が起きてから対応するのではなく、問題が起きる前に確認しておくことが大切です。

特に、会社をこれからも存続させるのか、後継者に引き継ぐのか、将来的に廃業するのか。

そうした会社の未来を考えるときにも、現在の登記状況を整理しておくことは重要です。

7.10月に向けて、もう一つ注意していただきたいこと

ここまで読んで、

「では、長期間登記をしていない会社には、具体的に何が起こるの?」

と思われた方もいるのではないでしょうか。

その答えが、今回のシリーズの大きなテーマである、

「みなし解散」

です。

法務局では毎年、一定期間登記がされていない会社・法人について整理作業を行っています。

そして、10月頃になると、対象となる会社・法人について官報公告が行われ、通知書が送付されます。

その後、必要な対応をしなければ、みなし解散の登記がされる可能性があります。

では、

なぜ営業している会社まで「解散」とされるのでしょうか?

そして、

10月頃に通知が届いたら、具体的に何をすればいいのでしょうか?

次回は、いよいよこの「みなし解散」について詳しく解説します。

次回予告

「会社は営業しているのに、なぜ『解散』とされるのか?」

「うちは現在も営業しているから関係ない。」

そう思っている経営者の方にこそ、知っていただきたい制度です。

「みなし解散とは何なのか」

「どのような会社が対象になるのか」

「10月頃に何が起こるのか」

次回は、これらを分かりやすく解説します。

10月になってから慌てないためにも、今のうちに自社の登記状況を確認しておきましょう。

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解散・清算結了登記

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