「みなし解散」の通知が届いたら、まず何をする?
「会社は現在も営業しているのに、法務局から『みなし解散』に関する通知が届いた。」

「会社は現在も営業しているのに、法務局から『みなし解散』に関する通知が届いた。」
そんな状況になったら、どうすればよいのでしょうか。
「会社は普通に営業しているのに、なぜ?」
「この通知は無視しても大丈夫?」
「何か登記をしなければいけないの?」
初めて通知を受け取った経営者の方であれば、不安になるのも当然です。
しかし、ここで大切なのは、
慌てることではなく、期限内に必要な対応をすることです。
前回の記事では、「みなし解散」の制度そのものについて解説しました。
今回は、実際に通知が届いた場合に、
「まず何を確認すればいいのか」
「どのような対応が必要なのか」
について、順番に確認していきます。
目次
1.「みなし解散」の通知が届いたら放置しない

まず最も大切なことです。
もし会社に「みなし解散」に関する通知が届いたら、
そのまま放置しないでください。
この通知は、
「あなたの会社が現在、長期間登記されていない状態にあります」
という重要な知らせです。
会社が現在も営業しているとしても、長期間登記がされていなければ、休眠会社等の整理作業の対象となることがあります。
通知を受けた場合には、公告から2か月以内に必要な登記を申請するか、「まだ事業を廃止していない」旨の届出をする必要があります。
何も対応しないまま期限を迎えると、みなし解散の登記がされることになります。
したがって、通知が届いたら、
「あとで確認しよう」
ではなく、できるだけ早く内容を確認しましょう。
2.まず確認したいのは「最後の登記」

通知が届いたら、まず確認したいのが、
「自分の会社は最後にいつ登記をしたのか?」
ということです。
登記事項証明書などを取得して、最後にされた登記の内容と日付を確認しましょう。
例えば、
など、最後にどのような登記がされたのかを確認します。
ここで重要なのは、
会社を設立した日ではなく、「最後に登記をした日」を確認すること
です。
「設立してから何年経ったか」だけを見て判断してはいけません。
最後の登記からどれだけの期間が経過しているのかを確認することが重要です。
3.次に「現在の会社の状態」を確認する
最後の登記を確認したら、次に、
「登記簿の内容と、現在の会社の状態が一致しているか」
を確認します。
例えば、登記簿を見ると、
代表取締役が10年以上前の人物になっている。
取締役の情報が現在の会社と違っている。
本店所在地が昔の住所になっている。
会社の目的が現在の事業内容と大きく異なっている。
このような場合には、単に「まだ事業を廃止していない」という届出だけで済ませるのではなく、必要な登記について検討する必要があります。
特に役員については注意が必要です。
同じ人が現在も役員を続けている場合でも、任期が満了して再任されているのであれば、役員変更登記が必要になります。
4.対応方法は大きく2つ

現在も事業を続けている会社の場合、基本的には、
① 必要な登記を申請する
または、
② 「まだ事業を廃止していない」旨の届出をする
という対応が考えられます。
ここで、
「どちらを選べばいいの?」
という疑問が出てくると思います。
重要なのは、会社の現在の状態を確認したうえで判断することです。
例えば、長年役員変更登記をしていなかったのであれば、必要な役員変更登記を行うことが考えられます。
一方で、現時点で必要な登記がなく、今も事業を継続していることを法務局に届け出る必要がある場合には、「まだ事業を廃止していない」旨の届出をすることになります。
「とりあえず届出を出せばいい」
と簡単に判断するのではなく、自社の登記状況を確認することが大切です。
5.「まだ事業を廃止していない」旨の届出とは?
「まだ事業を廃止していない」旨の届出は、
「この会社は休眠しているわけではなく、現在も事業を継続しています」
ということを登記所に届け出るためのものです。
この届出をすることで、その年の休眠会社・休眠一般法人の整理作業によるみなし解散を避けることができます。
ただし、ここで注意してください。
この届出をしただけで、会社の登記上の問題がすべて解決するわけではありません。
法務省も、必要な登記をしないまま「まだ事業を廃止していない」旨の届出をした場合には、翌年度も整理作業の対象となると案内しています。
つまり、
「届出を一度出せば、今後ずっと大丈夫」
という制度ではありません。
この点については、次回の記事でさらに詳しく取り上げます。
6.必要な登記がある場合はどうする?

では、登記簿を確認した結果、
「役員変更登記を長期間していない」
「現在の代表者と登記簿の代表者が違う」
「本店所在地が現在と違う」
などの問題が見つかった場合はどうすればよいのでしょうか。
この場合には、会社の現在の状態に合わせて、必要な変更登記を検討する必要があります。
場合によっては、一つの登記だけではなく、複数の変更登記が必要になることもあります。
また、長期間登記をしていなかった場合には、過去の役員任期や株主総会の議事などを確認しなければならないケースもあります。
「通知が届いたから、簡単な届出だけをすればいい」
とは限りません。
だからこそ、
通知が届いた段階で司法書士に相談する
という選択肢があります。
7.期限を過ぎるとどうなる?

みなし解散の整理作業で最も避けたいのが、
「何もしないまま期限を過ぎてしまうこと」
です。
公告から2か月以内に必要な登記または「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしなければ、会社はみなし解散の対象となります。
そして、みなし解散の登記がされると、登記簿上は会社が解散した状態になります。
「会社は営業しているのだから、あとで何とかすればいい」
と考えるのではなく、
通知を受け取ったら、期限を確認し、早めに対応する。
これが基本です。
もし期限を過ぎてしまった場合でも、一定の要件のもとで会社を継続するための手続があります。
しかし、余計な手続や負担を増やさないためにも、まずは期限内の対応を心がけましょう。
8.通知が届いたことを「会社の健康診断」の機会に

「みなし解散の通知」と聞くと、
「会社を解散させられてしまうのでは?」
という不安を感じるかもしれません。
しかし、見方を変えれば、これは会社の状態を見直すきっかけでもあります。
会社を設立してから何年も経っている。
役員も変わっていない。
事業内容も大きく変わっていない。
だからこそ、登記について確認する機会がなくなっていた。
そんな会社もあるでしょう。
今回の通知をきっかけに、
「現在の会社の状態と登記簿は一致しているか?」
「この会社をこれからどうしていくのか?」
を考えてみてはいかがでしょうか。
事業を続ける。
後継者に引き継ぐ。
第三者に譲渡する。
将来的に廃業する。
会社の未来には、様々な選択肢があります。
登記を整えることは、その未来に向けた準備の一つでもあります。
9.次回は「届出だけで本当に大丈夫?」を考える

今回の記事では、
「みなし解散の通知が届いたら、まず何を確認すればいいのか」
について解説しました。
ポイントを整理すると、
① 通知を放置しない
↓
② 最後の登記を確認する
↓
③ 現在の会社の状態と登記簿を確認する
↓
④ 必要な登記または届出を検討する
↓
⑤ 期限内に対応する
という流れになります。
そして、ここで一つ重要な疑問が残ります。
それが、
「まだ事業を廃止していない」という届出を出せば、それで本当に大丈夫なのか?
という問題です。
次回は、
「『まだ事業を廃止していない』届出だけで大丈夫?」
をテーマに、
届出の意味、届出をした場合の注意点、翌年度の整理作業、必要な登記をしないことの問題点
について、さらに詳しく解説します。
「とりあえず届出を出しておけばいい」と考える前に、ぜひ次回の記事もご覧ください。
「会社は現在も営業しているのに、法務局から『みなし解散』に関する通知が届いた。」
毎年10月頃、法務局では**「休眠会社・休眠一般法人の整理作業」**を行います。
ここまで2回にわたって、会社の登記についてお話ししてきました。
会社を設立するときには登記をしたものの、その後は何年も登記をしていない。