通知に気づいたら「みなし解散」になっていた……それでも会社は復活できる?
ここまで「みなし解散」について、7回にわたって解説してきました。

ここまで「みなし解散」について、7回にわたって解説してきました。
第4回以降では、
「みなし解散の通知が届いたらどうするのか」
「まだ事業を廃止していない旨の届出だけで大丈夫なのか」
といった、具体的な対応についてお話ししました。
しかし、実際にはこんなケースも考えられます。
「会社の住所に封書が届いていたけれど、誰も確認していなかった」
「代表者が高齢で、郵便物の確認ができていなかった」
「通知が届いたこと自体を知らなかった」
「気がついたときには、もう2か月を過ぎていた」
そして、法務局の登記簿を確認してみると――
「解散」の登記がされている。
「もう会社は終わってしまった……」
そう思われるかもしれません。
しかし、ここで諦める必要はありません。
みなし解散の登記がされた後でも、一定の期間内であれば会社を継続することができます。
ただし、ここからが非常に重要です。
会社を継続できるからといって、
「とりあえず3年以内に手続きすれば大丈夫」
と考えてはいけません。
会社が「解散」とされたことによって、会社の事業活動や各種手続きに影響が生じる可能性があるからです。
目次
1.2か月を過ぎると何が起こる?

休眠会社等の整理作業では、対象となる会社について法務大臣による公告が行われ、登記所から通知が送付されます。
そして、公告から2か月以内に、
のいずれも行わなかった場合、会社は解散したものとみなされます。
その結果、登記官が職権で解散の登記をします。
ここで大切なのは、
「通知が届いた日から2か月」ではなく、法務大臣による公告から2か月
という点です。
だからこそ、封書を受け取ったら、
「まだ2か月あるから大丈夫」
と考えるのではなく、すぐに内容を確認することが重要です。
2.みなし解散後でも会社を継続できる

では、すでに「解散」の登記がされてしまった場合はどうでしょうか。
実は、株式会社であれば、一定の条件のもとで会社を継続することができます。
法務省の案内では、みなし解散の登記後3年以内であれば、株主総会の特別決議によって株式会社を継続することができるとされています。
つまり、
みなし解散=会社が完全に消滅した
ということではありません。
会社を継続するための道が残されています。
ただし、一般社団法人・一般財団法人の場合は、株式会社とは手続きが異なり、社員総会または評議員会の特別決議によって法人を継続することになります。
3.「3年以内」という期限に注意

ここで最も注意していただきたいのが、
「3年」
という期限です。
みなし解散の登記がされた後、いつまでも会社を継続できるわけではありません。
解散したものとみなされた日から3年以内
に、会社継続のための手続きを行う必要があります。
例えば、
「今年みなし解散になったけれど、今は忙しいから来年考えよう」
「事業が落ち着いたら会社を復活させよう」
と放置してしまうのは危険です。
気がついた時点で、まず現在の登記簿を確認し、
いつ、みなし解散となったのか
を把握することが重要です。
4.会社継続には特別決議が必要

会社を継続する場合、単に法務局へ、
「会社をもう一度使いたいです」
と伝えるだけではありません。
株式会社の場合には、株主総会の特別決議が必要です。
そして、その決議に基づいて、
「会社継続の登記」
を申請することになります。
法務省の案内では、会社を継続した場合には、継続の決議の日から2週間以内に継続の登記を申請する必要があるとされています。
さらに、長期間登記をしていなかった会社であれば、
なども確認する必要があります。
つまり、
「会社継続の登記だけをすれば終わり」
というものではありません。
5.許認可が必要な会社は特に注意

そして、今回特にお伝えしたいのが、
許認可が必要な事業を行っている会社
です。
例えば、業種によっては、
など、行政庁から許可・認可・登録等を受けて事業を行っている場合があります。
このような会社がみなし解散となった場合、
会社登記だけを元に戻せば、それですべて解決するとは限りません。
許認可の種類や制度によっては、法人の状態が変わったことに伴って、別途確認や手続きが必要となる場合があります。
場合によっては、
「許認可について行政庁への確認が必要」
「再申請等の検討が必要」
といった問題につながることもあります。
したがって、許認可事業を営んでいる会社ほど、
みなし解散になってから対応するのではなく、通知が届いた段階で専門家に相談する
ことをおすすめします。
6.社会保険などにも影響する可能性がある

さらに、会社には登記だけではなく、さまざまな制度が関係しています。
例えば、
社会保険
です。
会社が解散したものと扱われた場合、健康保険・厚生年金などについても、法人の登記とは別に確認や手続きが必要となる可能性があります。
また、
など、会社を取り巻くさまざまなところに影響が及ぶ可能性があります。
もちろん、すべての会社で同じ影響が出るわけではありません。
だからこそ、
「うちの会社の場合は何が影響するのか」
を個別に確認する必要があります。
7.「復活できるから大丈夫」ではありません
ここまで読んで、
「3年以内なら会社を継続できるんだったら、そんなに慌てなくてもいいのでは?」
と思われた方もいるかもしれません。
しかし、私はむしろ逆だと考えます。
「3年以内なら継続できる」からこそ、早めに対応する。
これが大切です。
みなし解散になってしまった会社では、
「会社を継続すること」
と、
「会社が解散状態になったことで生じた各種問題を整理すること」
を同時に考える必要があります。
登記だけを見て、
「会社継続の登記をすれば終わり」
と判断してしまうと、後から別の問題が出てくる可能性があります。
8.封書が届いた時点で専門家へ相談を

今回のシリーズで、私が一番お伝えしたいことです。
もし会社宛てに、
「休眠会社・休眠一般法人の整理作業」
に関する封書が届いたら、
絶対に放置しないでください。
封書を開け、
「まだ事業をしているから大丈夫」
と自己判断するのではなく、
まずは、
「この会社は今、登記上どういう状態なのか?」
を確認してください。
そして、
を専門家と一緒に確認することをおすすめします。
まとめ
もし、通知に気づかないまま2か月が経過し、すでにみなし解散の登記がされていたとしても、
解散とみなされた日から3年以内
であれば、株式会社の場合は株主総会の特別決議を経て、会社継続の登記をすることで、会社を継続することができます。
しかし、
「3年以内なら大丈夫」
という考え方は危険です。
許認可が必要な事業を行っている場合や、社会保険、金融機関、契約、取引先など、会社を取り巻くさまざまなところに影響が及ぶ可能性があります。
だからこそ、
封書が届いたら、まず専門家へ。
これが一番安全です。
みなし解散は、
「登記を忘れていました」
だけで終わる問題ではありません。
会社そのものの信用や事業の継続、従業員、取引先、そして経営者のこれからにも関わる問題になる可能性があります。
だからこそ、
「届いてから考える」のではなく、
「届いた時点で相談する」。
これをぜひ覚えておいてください。
そして、会社を続けるのであれば、
「これから10年、20年、この会社をどうしていくのか」
まで考えてみてください。
みなし解散を避けるための登記ではなく、
会社の未来を守るための登記へ。
それが、これからの会社経営に必要な「未来設計」なのではないでしょうか。
「みなし解散」シリーズを読んでいただいた皆さまへ
今回のシリーズでは、会社の登記放置から「みなし解散」、通知を受け取った場合の対応、そして万が一みなし解散になってしまった場合の会社継続まで、8回にわたって解説しました。
会社の登記は、一度設立したら終わりではありません。
会社の現在と登記簿の内容を一致させておくこと。
そして、会社の将来を考えておくこと。
この2つが、会社を守るための大切なポイントです。
「そういえば、うちの会社は最後にいつ登記しただろう?」
そう思われた方は、この機会に一度確認してみてはいかがでしょうか。

ここまで「みなし解散」について、7回にわたって解説してきました。
ここまで6回にわたって、「みなし解散」について解説してきました。
というテーマで、通知が届いたときの具体的な対応についてお話ししました。
「会社は現在も営業しているのに、法務局から『みなし解散』に関する通知が届いた。」